二人の祖母の話。

母方の祖母は、我が家から歩いて5分の所に住んでいました。祖父、祖母、住み込みのお手伝いさんの
3人で暮らしていました。
母は、しょっちゅう世話をしに行っていました。

そのうち母の実家は、長男(母の兄)夫婦が同居する事になりました。

多分、嫁、姑の関係が難しかったのでしょう。
祖母は、毎日通って来るようになりました。
足が弱く乳母車で通っていました。


祖母はその後、脳軟化症と診断されました。
身体が不自由になり、喋る言葉も、ままならなくなりました。それでも、雨の日も、風の日も、通ってきました。

いつも、ボロい着物を着て、会話は、出来ませんでした。
着物のたもとから、お菓子を出したりしました。
私達、兄弟は、魔法のふところと呼んでいました。

夕方になると帰っていきました。ほとんど同居でした。

母方の祖母が亡くなってから、父方の祖母が同居する事になりました。

しばらく独り暮らしをしていて、ノイローゼになったと聞きました。

私の父は7人兄弟の3番目でした。祖母は、若い頃、主人(私の祖父になります。)を亡くしたと聞いていました。

祖母は、長男(父の兄)の嫁さんと気が合わず、私の母を気に入っていました。

多分1年近く同居した記憶があります。私は、母方の祖母とは、違って会話が出来るし、耳は、遠いけど、上品な祖母が大好きでした。

手先が器用で、よくぬいぐるみを作っていました。
祖母は、元気になりました。

祖母の家は、田舎でも、電車が通っている便利な場所にありました。

祖母の家から車で15分位の所に、娘(父の姉)家族が住んでいました。旅館をしていたのです。
子供(私の従兄弟になります。)が4人いて、それぞれ、高校に行くのに祖母の家に下宿する事になりました。

それで、祖母は、家に帰る事になりました。

そこから数年後、私は、編み物を習う為、祖母の家に下宿する事になりました。