妹の家出事件。

最初に、それが始まったのはいつ頃か記憶にありません。多分小学校の低学年だと思います。
妹は、何かあると、家出をすると宣言し、何も
持たず家を飛び出しました。

我が家の玄関横に風呂焚き場がありました。古いタイプだったので、外でお風呂を炊いてました。
トタンの屋根が付いていて、縦長で奥行きがあり
充分な広さがありました。

妹の最初の家出の時にその風呂焚き場で見つけました。愚図る彼女を説得し、家に帰りました。(玄関の横ですが。)

その後も度々彼女は、家出をしました。
家出場所は、玄関横の風呂焚き場、もしくは、
その後ろにある、塀の裏側の僅かな隙間。
この2箇所に限定されてました。

私は、パターンが分かったので、安心しました。
彼女が家出すると怒って出ていった時は、
5分位時間を置いて、隠れている場所に行き、探し回ったふりをし、彼女を説得して連れ帰る。

その繰り返しだったのです。

私は、すっかり飽きてしまいました。
毎回同じパターンで、またか と思いました。

ある日、いつも通り家出をしました。
私は、5分時間を置くのも面倒になりました。
あろうことか、彼女より先に風呂焚き場所に
着いてしまいました。

彼女は、私が先に居てびっくりしました。
私は、それを見て思わずくすりと笑ってしまいました。
彼女は、顔を真っ赤にして飛び出して行きました。

私は、真っ青になりました。彼女が本気で走ったら追い付けません。喘息持ちの私には、走る事さえ
出来ませんでした。

妹の姿は、あっという間に視界から消えました。
どうしよう。
近所にある隠れそうな場所を探しました。
いない。
私は、うなだれて母に報告しました。
母は「そのうち帰って来るわよ」と心配していない様子。

私は、いつも通りにしなかった自分を責めました。

その時です。スコールの様な大雨が降りました。
私の故郷は、台風の通り道だったのです。
なので時々、そういう時がありました。

カミナリまで鳴ったのです。妹は、カミナリが大嫌い。彼女は、あっという間にびしょびしょになり泣きながら帰ってきました。

私は、この時程大雨に感謝した事は、ありませんでした。

「あほ」(この辺は、馬鹿とは言いません。あほが主流です。)と言いながらバスタオルを手渡し、胸が一杯でこれ以上言葉が出て来ませんでした。

ただ、それに懲りたのか、彼女の家出は無くなりました。

明日は、その妹が養女になる? お話をします。
本日も、有り難うございました。