中岡先生のその後、パート2

私は、母と妹の3人で中岡先生の実家に行く事になりました。

中岡先生のお姉さんが、母が入信していた宗教の
信徒でした。
偶然、それが解り、私達は、墓参りに行く事になりました。

そこは、不便な場所で、家からバスで40分位の場所でした。バス停は、◯◯経由だったので、
数時間に1本しかありませんでした。

私達は、帰りの時間を確認し、訪ねて行きました。
初老の上品な紳士が「よく来たね。」と、私達を迎え入れてくれました。

中岡先生のお父さんでした。犬に吠えられながら
仏壇へ。

懐かしい中岡先生の遺影と、両脇に、3人の若い女性の写真が飾ってありました。

「この女性は、あれの母親です。」
中岡先生の母親は、産後すぐ亡くなり、お父さんは
その後2回再婚し、何れも亡くなったそうです。

「それからは、犬と暮らしている。」

寂しそうに笑っている。中岡先生の面影が重なりました。「あれは、母親の愛情を知らない可哀想な、奴です。」

私は、全てが繋がりました。あの頃、母は30代中頃。中岡先生は、20代中頃。
亡くなった母親達も、30代。中岡先生は、母親を求めていたのでしょう。

その後の、新しい情報で、中岡先生は、火事の時に
奥さんと一旦は逃げた事。
その後、大切な物を部屋に忘れて戻った事。その時新妻が「私も、一緒に行きます」と言って戻った事。それで煙りに巻かれて亡くなった事。

全ての状況が解りました。
先生は、何を取りに戻ったのでしょう?

私は、勝手に想像します。
もしかして、へその緒?

ただ、単に財布かもしれません。
今となっては、真実は、分かりません。

解るのは、良い妻に恵まれたという事だけです。

中岡先生のお話は、これでおしまいです。
本日も有り難うございました。