私が、初めて姉になった日

私には、ひとつ年下の妹がいました。私は、早生れだったので、学年は、2つ下でした。
上は、兄と姉だったので、年頃になれば部屋は、別々。私と妹は、幼い頃、ひとつの部屋を共有していました。

一緒に過ごす時間が長く、良く遊んだけど、喧嘩もよくしました。
身長も、いつの間にか、私を越えてしまいました。

私は、妹のお下がりを着たりしましたが、そういう事に、こだわりもありませんでした。

何より、自分が姉という自覚がありませんでした。
体力は、彼女の方が上でした。
私の中では、対等の友達のような感覚でした。

多分小学校の低学年だと思います。ささいな事で大喧嘩になりました。普段はそこまで、カッとなる事は無いのですが、私は、自分の想うようにいかない身体にストレスが溜まっていました。

身近にあった辞書を手に持って投げようとしました。 妹も負けじと、鉛筆削りを手に持って構えていたのです。(この当時の鉛筆削りは、大きかったのです。)

私達は、仁王立ちになったまま、にらみ合いをしていました。「はい。そこまで」
兄が止めてくれました。
普段はそういう介入は、しないのですが、ただならぬ状況にストップをかけてくれました。

妹は、緊張の糸が切れて泣きました。私も泣きました。
でも、私が泣いたのは、自分が怖かったのです。
私は、兄が止めてくれなかったら辞書を投げる気でいました。
妹が怪我しようが構わないと思っていました。
自分の感情を制御出来なかったのです。

私は、当然妹も、同じだと思っていたのです。
あの子は、投げる気が無かった。私は、ためらわず投げようとしていたのに。
ただ、私が恐くて仕方なしに、鉛筆削りを掴んだのだ。

彼女は、兄が止めてくれてホッとして泣いたのだ。
私は、それまで妹を弱いと思った事がなく、むしろ私より気が強いと思っていました。私を怖がっているのに驚きました。

その時初めて、私は姉なのだ。 と自覚しました。
私は、自分より弱い者に手は挙げない、そう誓いました。

勿論、その後も喧嘩はしましたが、自分の中では、あれほど、キレる事は、ありませんでした。
心のどこかでは、守ってやらなくてはと、思っていたのです。

明日は、妹の家出事件に、触れたいと思います。

本日も、有り難うございました。