ファックス事件

私は、電機関係の資材工務に働いていました。
本社とは、別棟でした。2階建ての建物で、事務所は、狭く、大部分、部品の棚でした。私は、2階に勤務し、1階は、作業場がメインで事務所とは、名ばかりでした。

ファックスは、2階しか置いて無かったのです。
私は、2階に上がる途中の階段で、課長に呼び止められました。「悪いけど、ファックス持って来て」

「え、ファックスですか?」私は、とても驚いた顔をしました。 課長は「そんな嫌な顔しないで、持って来てよ。」と意外そうに答えました。

私は、これまで、どんな仕事でも、嫌な顔をした事が無かったのです。

「はい。解りました。」私の頭の中では、どうやって持っていくか考えていました。

そうです。私は、ファックスの機械の名前は、知っていました。でも、何に使うか知らなかったのです。
この当時、今ほどファックスは、流通していなかったのです。

わたしは、2階に上がり、そばにいた同僚のエリちゃん(仮名)に声を掛けました。

「今、課長にファックス持って来てと頼まれたけど、私は、独りで運べないし、このコードも、どうやって外していいか解らないから、手伝って。」

エリちゃんは、ファックスから、送られた紙を一枚手にとって、「これでしょう」と言いました。
私は、その時初めて、送信機と理解しました。

そういえば、以前ファックスを送ったら、紙が戻ってくると言って何回も送ったと言う笑い話を聞いた事がありました。
私は、何が面白いのか、全然解らなかったのです。
今、ようやく解りました。
課長への誤解も解けました。

その後、私もファックスを使う仕事が来ました。
今でも、ファックスを使うと、思いだし笑いをしてしまいます。

本日も、有り難うございました😄
次回は、歯医者さん事件を書きます。