結婚とは何ぞや

私達は、結婚に向かって行こうとしていましたが、
現実には、3年先の話です。

しかも、結婚は、ゴールではなくスタートでした。
私の気持ちは、いつも揺れていました。お互いに折半で生活をしていくと決めていましたが、私は、父に家賃を仕送りしてもらっている身でした。

段々給料は、上がってはきていましたが、世間並みとは、言えません。私自身、お金に困った経験が無いお嬢でした。

どうにもならなくなったら、父に頼れば良いと心のどこかで、思っていたのです。
でも、どう考えてもこの結婚は、反対される。私達は、二人きりでやっていかなければならない。

ヨシさんは、身体が弱かったのです。彼は、奇妙な体質でした。大学時代にバイクに乗って転び首を痛めていました。

普通の人なら、首の骨を折っていたけど、骨が丈夫だったのです。
若い頃は、大丈夫だったけど、30代半ば頃から、温度調節が出来なくなりました。

更年期障害のホットフラッシュのように、いきなり大量の汗が出るのです。警備員の仕事をしていたので、外の仕事でした。

室内のエアコンとか弱かったので、逆に良かったようです。でも、かなり不自由でした。いつも、服の替えを準備したり、タオルの用意をしたり大変でした。

ただ、お付き合いしているだけなら、もっと軽く
良いとこ取りです。それでも、恋愛の勢いで結婚出来るかもしれません。

3年間です。時間が沢山あると、余計な心配をしてしまいます。現実には、まだ一緒に生活していないから、問題は、発生していないのです。

にも関わらず、あれこれ心配の先取りをしていました。
ヨシさんは、揺れ動く私を見て

「そんなに、迷うなら結婚するのを辞める?
僕は、他の人の様に安定した生活はさせてあげられないかもしれないけど、内面的な刺激は、与えられると思う。
退屈はさせない。もし、僕についてきてくれるなら、前向きな気持ちでついてきて欲しい。
覚悟が出来ないなら、結婚するのは、やめよう。」

そう言うのです。
私は、考えました。結婚しないなら、私が東京にいる理由がない。
いずれは、田舎に帰るだろう。
ヨシさんとは、繋がってはいくと思う。遠距離のような感じで、

うーん、物足りない。私は、ヨシさんの人生に関わりたい。部外者ではなく、当事者の立場で。

この人の生きざまを身近で見たい。見届けたい。

それが、私の出した結論でした。
私がヨシさんに曳かれた最大の理由は、森羅万象の謎を解きたい。その情熱でした。

小説家を目指していたと言うのは、建前で、本当は、哲学していました。在野の学者だったのです。

仕事をしていない事で、時間を買っている。よくそう言っていました。

私も、森羅万象の謎を解きたい。私達は、同じ方向を向いている。私にとって、結婚は舟に乗る事でした。
舟は、ボロいかもしれない。でも、独りで泳いでいくよりは、進める。方角が同じなら、舟に乗ろう。

私は、行動しないよりは、失敗しても、行動した方が後悔が少ない。そう考えていました。

幼少時、私は、行動する体力が無かったのです。やりたい事が沢山ありましたが、何も出来ませんでした。

ヨシさんとの結婚も、どうなるかわからないけど、
今、ここで想像だけでやめたら悔いが残る。
そう考えたのです。ここまでは、自分との闘いでした。

もうひとつは、父との闘いが残っていました。
続きは、次回にします。
本日も、有り難うございました😄