2012年5月22日、パート3

5月21日、月曜日です。私は、会社に電話して、仕事の納期を少し伸ばしてもらいました。

半日だけ仕事をして、漢方薬局に行きました。私の風邪薬とヨシさんの薬のアドバイスが欲しかったのです。
いつものベテランの先生は、留守でした。代わりに経験の少ない息子がいました。ヨシさんが欲しい薬は、ドラッグストアーに無かったのです。昨日買った薬は、少し違っていました。

ヨシさんが、欲しい薬は、ありました。ベテランの先生が出たら、意見を聞き、もし、息子の方なら、自分が言う薬を買って来て欲しいと言われていました。

私は、言われた通りに薬を買ってきました。
昨日は、少し良くなっていたのに今日は、又
元に戻ったようでした。余り食事が取れていないのに、牛丼を食べたいと言うのです。

しかも、キムチを少し混ぜたら食べられるかもしれないと言うのです。結局は、数口しか食べませんでした。

私は、半年前に風邪をひいて喘息発作を起こしていました。それ以来ヨシさんは、私の布団を取ってくれていました。私は、ヨシさんが風邪をひいてから自分で布団を敷いてました。

所が、今回私が風邪をひいてから、布団は、俺が敷くと言って聞かなかったのです。

ヨシさんの布団は、敷きっぱなしです。夜は、座っている方が楽な様で、台所の椅子に座って寝てました。

そんな状況にも関わらず、私が自分で布団を敷こうとすると、興奮して怒るのです。


「俺は、お前が死んだら生きていけない。今の状態では、お前を守れない。お前を優先する。喘息のリスクを避けたい。布団位しか敷いてやることが出来ない。好きな様にさせてくれ。」

そう言うのです。

私は、何も言えなかったのです。我慢してさせたいようにしていました。

でも、この日は、我慢出来ませんでした。

ヨシさんが敷いている布団を途中から奪いました。「いい加減にして。こんな状態のヨシさんを見て平気な訳無いでしょう?私を何だと思っているね。」

私は、布団を敷きながらボロボロ泣きました。
ヨシさんが風邪をひいてから、私達は、とても
静かでした。会話は、ほとんど病院に行く行かない
のやり取りでした。

私達は、お互いに「大丈夫?」と聞きませんでした。

どうみても大丈夫ではない状態で、その言葉は
不要でした。
私は、溜まっていた自分の感情を吐き出しました。

私は、ヨシさんが反論すると思って、彼の顔を見ました。
ヨシさんは、これまで見たことの無い表情で私の顔を見ました。愛情に満ちたいとおしむような、不思議な表情でした。

何て美しいんだろう。

私は、漫画のト書きのように「この表情は、忘れるな。」そんな言葉が浮かんできました。
ヨシさんは、一言も言葉を発しませんでした。

「お休みなさい。」そう言って私は、布団に入りました。
頭の中は、明日はどうしよう。何か良い方法がないか考えていました。

これが、ヨシさんとの最期の別れになりました。

続きは次回にします。
本日も、有り難うございました。