初めての出会い

私は、上京して和裁の仕事を決めました。生活のメドがたったので、自分の東京物語を作りたかったのです。

何かサークルに入ろうと考えました。田舎での漫画の同人誌は、楽しかったのですが、もの足りなかったのです。
漫画は、好きですが、アニメには、それほど興味は、ありません。私は、漫画を描くためのストーリーがいくつかありました。

日記は、ずっとつけていたから文章を書くのが好きでした。
そうだ、文学サークルに入ろう。この当時、田舎者だったので、新聞の勧誘を断れませんでした。

新聞紙の片隅にそういうコーナーがありました。
池袋の勤労福祉会館と言う場所でやっていました。

私は、その日、兄貴と一緒に神田の古本屋に、行きました。時間が予定よりかかりました。
兄貴に、勤労福祉会館に行きたいと話したら、バイクで送ってくれました。(この当時、兄貴は、バイクにはまっていました。)

サークルは、始まっていました。

ドアを開けたら、一斉にこちらを見ます。
私は、あらかじめ電話をしていました。

「あのう、○○です。遅くなりました。」
その中に、彼がいました。話を中断してそれぞれの自己紹介が、始まりました。6~7人で、独りだけ女性が混ざっていました。

同人誌の中身は、かなり難しいものでした。いくつか詩もありました。作品のひとつひとつを読み解くというものでした。

その後に、駅の近くにみんなで食事をしました。その移動の間、私の隣に彼が来てずっと話しかけてくれました。レストランでも、私の横にすうっと座ったのです。そしてメニューの説明をしてくれました。

随分、面倒見が良い人だな。サークルの時は、怖そうな人だったので、私は、意外な感じがしました。
滑舌が悪く、聞き取りづらいけど、饒舌でした。
もう一人の女性は、積極的に彼と話をしていました。

彼女は
好意があるのかな?漠然とそう感じました。私は、彼を妻子があると思い込んでいました。
落ち着いて見えました。他の男性の様な女性に慣れていない雰囲気が無かったのです。

下心があるような感じがしません。しばらく話したら、会長以外は、全員独身と判りました。

彼、ヨシさんとこうして私は、出会いました。2回目のサークルの時、私は、当たり前のように、
給湯室からお茶を持って来て、皆に配りました。

ヨシさんに、お茶を出した時、「ここでは、こういう事はしなくていいから。お茶は飲みたい人が、自分で入れるから。」
と言うのです。私は、男尊女卑の教育を受けていました。

(さすが、東京。進んでいるな。)と思いました。
ただ、サークル中は、かなり議論をし、ややこしそう。私は、面倒臭そうな人だな。と思い、あまり好感が持てませんでした。

それでも、サークルが終るとわたしの横に来て世間話をし、レストランでも、横に座り色々な話をするのです。

私は、ヨシさんの作品を読んで、興味を持ちました。難解な文体でしたが、私は、10代の頃
純文学にはまりました。スタンダード、ロマンロラン、ドストエフスキー
難解な文体でしたが、じっくり時間をかけて読むのが好きでした。

ヨシさんの人となりに関心を持ちました。どういう過去を持っているのか?どうしたらこんな文章が書けるのか?
服は、みすぼらしいし、お金がない様子。年齢不詳。

更に親しくなる出来事がありました。
次回はそのお話しをします。
本日も、有り難うございました😄